なかなかTV画面から撮ることできないんですが。
作者の意図
あなたがTVを見ていると、画面にグラフが出ました。
新規感染者数のグラフです。
北海道、岡山、広島を比較しています。
今年の1月から5月までの期間を横軸にとって、表示しています。
どのグラフも、同じような推移をしているようです。
「北海道がヤバいって聞いてたけど、岡山、広島も北海道並みにヤバくね」
と伝えたかったのかもしれません。
ただ、グラフをこのように並べて、比較検討の判断材料のようにするのは、いけません。
ミスリード(誤った誘導)です。
何がいけないか?
グラフを作ることは悪くありません。
並べて比較するのもいいでしょう。
ただ、このような並べ方はいけません。
何がいけないか?
縦軸の目盛りが揃っていないのに、同じように並べているからです。
縦軸を見ると、北海道は0−800、岡山は0−200、広島は0−250のレンジです。
つまり、実際は同じ高さのグラフではないのです。
北海道を基準に考えれば、岡山のグラフは4倍に、広島のグラフは3.125倍に、ビョーンと縦にだけ引き伸ばされているのです。
以前、こちらの記事にも書きましたが、見え方(印象)がぜんぜん変わってしまい、ミスリードになってしまうのです。
この3つグラフを、数字をもとに比較してみましょう。
仮にグラフの真ん中あたり、北海道は80(ぐらいでしょうか)だったのが、直近だと700を超えている。
8.75倍に増えている、という見かたをしたとします。
同じように比較すると、岡山は10ぐらいが180ぐらい(18倍)。
広島は5ぐらいが210ぐらい(42倍)。
グラフの形は似たように見えます(引き伸ばして見せているだけです)が、同じとはいい難いです。
数字を使うと伝えやすいが
「安心、安全な〜」とか、「絆を〜」というキャッチフレーズは、雰囲気を伝えるにはいいでしょう。
ただ、数字を使ったほうが「計算できる」という点で、より実感として、具体的なものが見えてきます。
数字の羅列も、分かりにくいし伝わりにくいのは事実です。
呪文やお経のように聞こえてしまうこともあります。
今回の場合、作者が伝えたかったことは、
「岡山や広島も、すごい勢いで感染者が増えてるよ」だったと思います。
だったら、北海道を引き合いに出したとしても、
北海道は直近だと700を超えて、落ち着いていた頃(真ん中あたり)と比べると、8.75倍にもなっている。
でもね、同じように比較すると、岡山は18倍(180)、広島は42倍(210)にもなってるよ。
すごい勢いだね。
こんな伝え方がいいんじゃないかと?
仕事柄、どうしてもこのへんには、反応してしまいます。
数字も包丁同様、道具にも凶器にもなるものです。
注意を持って、接したいものです。
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