確定申告の時期になると、医療費控除への関心が高まります。
医療費控除の「時期」で迷う部分について、書いてみたいと思います。
医療費控除とは
基本的なところをまず押さえておきます。
国税庁のタックスアンサーに、医療費控除の概要があります。
1 医療費控除の概要
その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。
要約すると「その年中に、一定の医療費を払ったら、所得控除できます」ということです。
今回は「時期」を中心に見ますので、そのほかの説明は割愛します。
時期についての、基本的な考え方
医療のケースは、次のような流れになります。
「病気やけがをして、医者へ行き、治療を受け、お金を払う」
一般的には治療が終わると、会計をして(その場で)払う、ということになります。
ですが、このタイミングがずれるケースもあるわけです。
「持ち合わせがないので、後日支払いに来る」ような場合です。
医療費控除の時期についての基本的な考え方は、
「治療と支払いが終わった時」に医療費控除の対象とできる、という考え方です。
なので、治療が終わっていても、支払いが終わっていないものは、医療費控除の対象とすることはできません。
国税庁のタックスアンサーにも、はっきり書いてあります。
2 医療費控除の対象となる医療費の要件
(1) ーー略ーー
(2) その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。)。
医療費の支払の時期について考えてみる
表にまとめてみました。
Aのケースは、ごく一般的なパターン。
Bのケースは後から払うパターンで、さきほどご紹介したように、国税庁のタックスアンサーにもあります。
では、Cのケースはどうなるのでしょうか?
治療が来年、支払いが今年というケースです。
「治療が来年なんだから、来年でしょ?」
「でも支払いは今年ってことは、この治療については医療費控除は受けられない?」
「治療が来年なのに、前払いなんかするの?」
でも、現実的にはこんな治療もあります
実際には、歯の治療や入院治療など長期にわたる治療のケースもあります。
歯の治療の場合など、先にお金を払うケースもあります。
そうすると、治療は来年だけど、今年支払いをするケースもあるのです。
国税庁のタックスアンサーに、こんな記載があります。
4 医療費控除を受ける場合の注意事項
(1) 治療中に年が変わるときは、それぞれの年に支払った医療費の額が、各年分の医療費控除の対象となります。
No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例より
ここから、次のような結論を導き出せます。
「治療が開始されていれば、前払い部分があっても、支払いの年に医療費控除の対象とすることができる」
もちろん、今年治療がまったくされないのに、来年分を今年に払ったら、医療費控除はムリです。
医療費控除は、今年も、来年も、受けられないことになります。
そこは気をつけてくださいね。
もちろん、健康であることがいちばんですが。
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