「利益があるっていうけど、そのお金はどこにあるんですか?」
「資本金とか、自己資本のお金はどこにあるんですか?」
多くの会計の専門家はこう答えます。
「利益が1千万円といっても、掛取引とかがあるので、必ずしもそのお金があるわけではありません」
「資本金は株主から預かった元手で・・」
いえいえ、どちらも答えになっていません。
利益は収益から費用を引いた単なる差額、自己資本は総資産から他人資本を引いた単なる差額、計算上のものでしかないからです。
それなのに、ネットで検索して見るとこんな感じの記述が出てくるのです。
企業体力 喜べぬ最高 効率、世界標準に見劣り
自己資本比率、昨年度4割超え
日経電子版 2017/6/18 8:52
日本企業の体力が過去最高になった。株主から預かったお金である自己資本が総資産に占める比率は2016年度に初めて4割を超えた。破綻リスクが小さく財務が十分安定しているとされる水準だ・・・
”自己資本が総資産に占める比率”でしかありませんから、いくら総資産が大きくても、現金預金が多いわけではありません。
大企業は現金預金は多いと思いますが・・
一般に企業の総資本は、返済を必要としない自己資本(資本金、法定準備金、剰余金等)と返済を必要とする他人資本(借入金、社債等)に分けられ、自己資本比率が高いほど、返済や金利負担のある他人資本(負債)が少ないことになるため、企業経営の安全度が高いと言えます。また、本比率を高めるためには、税引き後利益の蓄積である剰余金を増加させるか、または非効率な資産を圧縮するかなどの施策が必要となります。
”自己資本比率が高いほど、返済や金利負担のある他人資本(負債)が少ないことになる”のでしょうか?
自己資本比率が高かろうが低かろうが、貸借対照表に載っている1億円の借金には、変わりありません。
過大な自己資本がありながら適当な投資(事業)が行えない場合、いわゆる「資本が眠る」状態となり、株式会社(特に上場会社)では投資ファンドなどの株主から配当を増やせとの圧力が強まる場合がある。
”過大な自己資本がありながら適当な投資(事業)が行えない”といっても、自己資本に相当するお金があるわけではありません。
実態のない、単なる差額からお金や投資判断をしてはいけないのです。
そのほか、こちらでお話します。
□ 戦略MQ会計セミナー(基本編)2017年7月22日