2枚の写真があります。

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決算書のつくり方
kindle版 

なぜ社長は決算書に興味がないのか?
Kindle版

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見比べると、10円玉が右に動いたようです。
どうしてそう思えるのでしょうか?

人間は無意識のうちに、見るもの、聞くもの、感じるもの・・
それらの「差」を取っています。

この写真も、他は動いていないけど10円玉だけ2cmぐらいでしょうか、右にずれています。
場所が変わっているように見えます。
だから「10円玉が右に動いた」と思います。

結果だけ見ると、人間は「差」だけにとらわれます。
絶対的ではなく、相対的な「差」です。
そして「10円玉が右にまっすぐ2cmぐらい動いた」と思い込みます。

ホントでしょうか?

実際は10円玉が上下にジグザグに動いたかもしれません。
ひょっとしたら緑色の紙と100円玉が、左に動いたのかもしれません。

でも、それはこの2枚の写真の間にある(絶対的な)事実を見なければ、わかりません。

「先月より営業キャッシュフローが、100増えました」
間接法で計算されても、それが何を意味するのかはよくわかりません。

「前期より買掛金が100減りました」
前期末BSと当期末BSを比較しただけでは、それがいいのか悪いのかは、よくわかりません。

現在の決算書は、この2枚の写真と同じです。
途中がよく見えないのです。

なぜかって?

株主は「結果、配当はもらえるの、どうなの?」
債権者は「結果、貸した金は返ってくるの?」
税務署は「結果、税金は取れるの?」

結果にしか興味がないからです。
だから結果がわかる表であればいいんです。

差を取ることはとても大切なことです。

ただ、その差がなぜ生じたのか、経営者はそこがとても重要です。
経営は途中も大事なんです。

買掛金が100減ったのは、仕入先に掛取引に応じてもらえなくなったのかもしれません。

もしそうだとしたら・・