押印廃止の流れが加速しています。
年末調整などでおなじみの、源泉徴収票。
会社からもらう源泉徴収票に、会社の印が押してあるものも多いと思います。
こちらも今後は、廃止の方向に向かうのでしょうか?
そもそも印は必要ありません
「源泉徴収票に会社の印がないものは、無効です」
「源泉徴収票に会社の印がないものは、確定申告では使えません」
こんなことを言われた経験がある方も、いらっしゃるのではないですか?
会計事務所や税務署でも、代々語り継がれてきている都市伝説の一つです。
結論から言いますと、会社の印は必要ありません。
印がなくてももちろん、確定申告を含め、通用します。
「ほんとうですか?どこに書いてあるんですか?」
すみません、どこにも書いていません。
税法を見ても、見つけられません。
ではなぜ、印なしでもOKと言えるのでしょうか?
それは「印を押せ」という規定がないからです。
押印が必要な書類には
「マジですか?」
と思われるかもしれません。
でも、規定がない以上、そう理解するのが自然です。
押印が必要な書類なら、必ず「印」という記載があります。
たとえば「扶養控除等申告書」
名前のヨコに「印」とあります。
押印が必要だから、「印」となっているのです。
詳しくはこちらに書いています。
・印鑑忘れにご注意ください(年末調整)
こんなお話もありました
私が会計事務所に勤務していたとき、ある方の確定申告をしたときのお話し。
税務署から電話があり、「○○さんの確定申告ですが、添付の源泉徴収票には会社の印がありませんね。会社の印のあるものを再提出してください」と。
私が必要ない旨を説明すると、税務職員からは更に驚きの発言が。
「今回はこのまま処理しますが、次回からは押印していただくか、印字のものでお願いしますね」
「コンピューターで印字されているものなら信用できますが、手書きの源泉徴収票ですしねぇ」
いやいや、手書きだから信用できない、印字されていればOKって。
じゃあ、なんで大事な書類に自筆で署名するの?って感じです。
書いてある内容が正しく、適切なものであることが必要なんです。
押印廃止の流れは、加速していくでしょう。
けれど、単純な「印のある無し」という思考では、ちょっと危険な気もします。
ものごとには、ちゃんと意味や理由があります。
それを踏まえての効率化でないと、本末転倒になってしまいますね。
(無意味なものも多いですけどね)
支払調書の都市伝説はこちらに書いてます。
・源泉徴収票と支払調書
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