年末調整も佳境のころです。
今年は特にマイナンバーの導入があり、現場ではいろいろなことが起きています。
源泉徴収義務だけでも腹立たしいのに、国はマイナンバーの収集事務まで事業者に押し付けています。
ただ、文句を言っていてこんなことに期間を費やすのはもったいないので、現実的な処理を進めていきましょう。
いくつかの事例と、その現実的な対応策を書いてみたいと思います。
なお、はじめにお断りしておきますが、この記事はあくまでも私谷口の現時点での個人的見解であります。法律にのっとって運用されることが正しいです。
ただ、導入期のマイナンバー業務に会社の方々が振り回されることはよくないと思いますので、現実的な対応の一例として書いています。
制度が普及、浸透していけばこのへんは解決されていくものと思っています。
いくつかの事例
例えばこんな例があります。
(1)マイナンバーを通知してくれない
まぁ、これはどうしようもありません。
なお、会社(での担当のあなた)を守るためにも、提供をお願いしましょう。
その際には記録を取ることをお忘れなく。
もし書類の提出期限に間に合わなければ、その(マイナンバーを記載すべき)箇所は空欄で書類を作成し、税務署へ提出するしかありません。
<参考>
国税庁HP マイナンバーQ&Aより
Q2-3-2 申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号を記載していない場合、税務署等で受理されないのですか。(答)税務署等では、番号制度導入直後の混乱を回避する観点などを考慮し、申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合でも受理することとしていますが、マイナンバー(個人番号)・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出してください。
なお、記載がない場合、後日、税務署から連絡をさせていただく場合があります。
最後の一文は最近追加されたようです。
なので、収集に努力した旨を記録しておくことで、会社やあなたを守りましょう。
(2)通知カードのコピーのみで、本人確認書類を送ってくれない
本人確認書類を送っていただかないと、本人確認ができません。
ただ、通知カードのコピーがあれば、とりあえずマイナンバー発行時にはその人が住民票の住所に存在していることは明らかです。
それ以降は役所の記録から、その人の実在は追跡できるはずです。
架空の人件費や外注費は論外ですが、(1)同様、会社(での担当のあなた)を守るためにも、提供をお願いし、記録を取っておきましょう。
もし書類の提出期限に間に合わなければ、通知カードから確認できる情報で書類を作成し、税務署へ提出するしかありません。
(3)通知カードと本人確認書類が一致しない
これ、かなりあります。
マイナンバー発行時から、引っ越した、結婚したなんていう人はザラにいます。
そして、住民票や免許証の書き換えに行けてない方も多いです。
マイナンバーカード(または通知カード)や、運転免許証などの身分証明書について正しく住所変更、氏名変更の手続きをお願いしましょう。
もし書類の提出期限に間に合わなければ、マイナンバーカード(または通知カード)から確認できるマイナンバー、生年月日、性別を、さらに本人から最新の現住所、氏名を確認して書類を作成し、税務署へ提出しましょう。
<参考>
◆ マイナンバー 本人確認の疑問
(4)通知カードのコピーや身分証明書の一部が欠落している
これもいくつか見ました。
特に報酬や家賃等の支払先の方(支払調書に該当する方)です。
源泉徴収票は生年月日が必要ですし、年末調整ソフトには性別を入れる必要があります。(年末調整は確定申告に準ずるものなので、これらが求められます)
しかし、報酬や家賃等の支払調書には、性別や生年月日を記入する必要がありません。
それを知っているのか、コピーした通知カードの下側を切り取っていたり、生年月日を黒く塗りつぶしているものも見ました。
免許証などの身分証明書についても、氏名、住所、生年月日、性別以外の箇所を隠したり、塗りつぶしたりしているものもありました。
マイナンバーカード(通知カード)の一部が欠落していると、確認したことにはなりません。
しかし、免許証などの本人確認書類は仮に塗りつぶしてあっても、マイナンバーカード(通知カード)に記載されている事項と照合できれば、とりあえずは問題にはならないでしょう。
可能な限り、きちんとした書類をお願いしましょう。
本人かどうかよくわからない
身分証明書の写真が本人と違うような気がする・・・
・やたら若い?
・メガネや髪型、顔つきが違う?
ここは突っ込みにくいところです(笑)
免許証は最大で5年前、パスポートは最大で10年前の写真です。
今と違っていても不思議ではありません。
しかも免許証には「眼鏡等」などの表示がありますが、パスポートにはありません。
写真以外の事項があっていれば、本人とするしかありません。
この本人確認(実在確認)は現実のところ、本人確認ではなく、実在確認なんだと思います。
現実的に難しいのですが、書類を持ってよしとするのは非常に疑問です。
なお、わからないからといって営業担当者とかに聞きに行かないでくださいね。
<参考>
◆ これは気をつけないと(マイナンバーの本人確認)
以上、現場からお伝えしました〜