決算書の表紙を見てみると

貸借対照表、損益計算書は俗に「決算書」と言われます。

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決算書のつくり方
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なぜ社長は決算書に興味がないのか?
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表紙をよく見ると

決算が終わり、税理士から渡された決算書。
その表紙をよく見ると、「決算報告書」と書いてあります。

報告書ということは、誰かが誰かに報告するためのものです。
では、誰に対して?

経理担当者や税理士から、社長への報告のため?

決算報告書は誰が、誰のために作っている?

決算報告書は、会社が作ります。
作成責任者は、社長です。

ということは、報告先は社長ではないでしょう。

報告先は次のようになっています。
・上場企業 → 内閣総理大臣
・その他の企業 → 株主、債権者、税務署

では、何のために作るのでしょう?
・上場企業 → 投資家保護のため
・その他の企業 → 株主(配当計算のため)、債権者(与信管理のため)、税務署(税金計算のため)

目的に「経営のため」という言葉は出てきません。

なぜなら、経営のためには使えないからです。

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単なる瞬間でしかありません

企業・事業経営というのは、継続的に続いているものです。
生き物に例えれば、生まれたら死ぬまで、時の流れの中で継続して、有機的に動いているものです。

決算(報告書)は、それを切り取ります。
決算日で区切って、時間を止め、瞬間を見ます。

動いているものを、止まっているものかのように見ます。
しかし、こちらが人為的に止めたと思っていても、その次の瞬間から、会社という有機体は動いています。

細切れにして分析すれば、わかったような気にはなります。

しかし、有機的に動いているものは、それぞれがお互いに補完しています。
人間関係のように、ついたり離れたりしながらバランスを取っていきます。
次の瞬間にはどういう関係性になっているかは、わかりません。

経営者が決算書を見て、分かったようで分からないのは、自分が興味のある、自らが営んでいる日々の経営から得られる有機的な情報が、決算書には載っていないからです。

なぜなら決算書は、動きの載らない、いわば死亡診断書でしかないからなのです。