今回は「雑益、雑損失等の内訳書」の書き方について。
何を書く内訳書?
いわゆるその他の損益を書く書類です。
決算書で言うところの、営業外収益・費用、特別利益・損失に関係する項目を書きます。
「雑益」の主なものには、
・税金の還付金、還付加算金
・固定資産の売却益
・有価証券の売却益
・作業くずなどの売却収入、自販機の取扱手数料
・生命保険の解約・満期に伴う利益相当額
・消費税の精算差額
などです。
「雑損失」の主なものには、
・固定資産の売却損、除却損
・有価証券の売却損
・貸倒損失
・支払いの確定した損害賠償金
などです。
「・・・金額が10万円以上のものについて記入してください。ただし、税金の還付金については、その金額が10万円未満であってもすべて記入してください。」とあります。
ですので、税金の還付金については1円でも記入します。
でも、税金以外の細かな雑益は書かなくて構いません。
雑損失の方も同様で、細かいものは書かなくてOKです。
記入にあたっての注意点
損益計算書の各勘定科目と、金額は一致させておいた方がいいでしょう。
10万円未満のものは書かなくていいといっても、例えば固定資産売却益のうち、10万円以上のものは書いて、10万円未満のものは書かない、といったことはよろしくありません。
もし、固定資産を3つ売却して、それぞれ売却益が
A車両:20万円、
B備品:7万円、
C工具:2万円 だったとしたら、
Aだけ書いてB、Cは書かない、ではなく全部をまとめて固定資産売却益29万円と書きます。
そしてこんなふうに、1行で書いておけばいいでしょう。
もちろん、個別に3行にわたって書いても構いません。
私は、省略可能なところはできるだけ省く派ですが。
この内訳書の上手な記入方法
省略可能なものは省く
この内訳書は、いわゆる「その他」の損益について書くものです。
「その他」の金額が微々たるものであれば、書くことを強制されているものを除いて、できるだけ省略した方がいいでしょう。
その一方で、他の内訳書で内容がわかるものや、いわゆる「その他」ではないものについては、特段書かなくていいと私は考えます。
具体的には、勘定科目名で明らかに内容がわかるようなものです。
実際に平成31年4月1日以後終了事業年度分の新書式からも、それが伺えます。
例えばこの「雑益、雑損失等の内訳書」も注書きが変わっています。
(新様式)
(※固定資産の内訳書に売却損益を書くのは難しいかもしれませんが・・)
そのほか、固定資産除却損、為替差損益、有価証券売却損益は、決算書に勘定科目を設けていれば、この内訳書に書かなくてもいいと思います。
積極的に書いておいたほうがいいと思うもの
会社が損として処理したものについては、可能な範囲で詳細を書いておくことをお勧めします。
理由は、税務署に対するアピールです。
例えば貸倒損失。
税務署は貸倒損失については、要件が厳しく決められています。
その理由は、税務署は「あんた、債権(売掛金)をそんなに簡単に諦めるのか?」という考えを持っているからです。
なので、どういう根拠(具体的には通達)に基づいて、貸倒処理したのかを明記しておきます。
私は「取引の内容」のところに根拠となった通達を明示しています。
例えば、「9−6−1 ○年○月○日更生計画認可の決定」といったようにです。
そうすることで、この貸倒損失の処理は、法人税基本通達の9−6−1によるものであると意思表示できます。
無用な疑念を持たれないようにします。
書くことで、消費税の課非の区分を明示する
雑勘定には、消費税が課税のものと非課税、あるいは不課税のものが混在しがちです。
なので、自分が間違えないようにするためも兼ねて、課非の区分により明細を書きます。
社宅の家賃(非課税)や、損害賠償関係(不課税)、受取保険金(不課税)などを分けておきます。
また、自販機収入(8%軽減税率)のものも、少額でも分けたりしています。
真面目に書くとけっこう大変ですし、決算途中で金額が出るものや変わるものもあるため、完成させるのに時間がかかる内訳書です。
ポイントを押さえて、効率よく仕上げましょう。