勘定科目明細書、相手先は誰?

国税庁のHPにはあるけれど・・

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書き方は事務所ごとに違う感じ・・

勘定科目明細の書き方を、以前まとめて記事にしました。
多くの方にご覧いただいているようです。
人気記事にも上がってきますし、記事の閲覧数も万単位になっているものもあります。

今日見たときには上位10のうち3つが科目明細書関係の記事で、上位5位に2つも入っていました。

ネットでは見かけないからかもしれません。

国税庁のHPでも、こういう様式ですよというPDFは提供がありますが、書き方の手引きみたいなのは見当たりません。
書式の注意書きを見て書いてね、ということなのでしょう。

そのせいもあるのか、誰に教わったか、どこの事務所か、などで差があるようです。

預り金の相手先は誰?

預り金の相手先についても、ご意見をいただきました。

私はこちらで、
預り金の相手先は、税務署とかではなくて、従業員とかです。
と書いています。

・勘定科目内訳明細書の書き方(預貯金、仮受金・預り金)

ご意見は「預り金の相手先は税務署とかではないですか?」というものでした。

あらためて、自分なりの考え方をまとめてみました。

税務署は何を知りたいか?

税務署は科目明細書を出せ、と言っています。
では、税務署はこの科目明細書で何が知りたいのでしょうか?

申告書と決算書だけでは分からないことを、補足してもらいたいのだろうと思います。

たとえば「長期借入金 1億円」と決算書に載っていても、それがどうしてそこに載っているのか、誰からいくら借りたのかは分かりません。
そこを補足させるために、借入金の内訳書を書かせるわけです。

・役員から借りてるけど、その役員はそんなにお金あるの?
・◯✕商事から借りてるけど、支払利息多いね〜、高利貸し使ってるん?

なにか(調査)の端緒になることはないかな?
がいちばんの目的でしょう。

科目明細でも足りないと思ったのか、今では事業概況書も出せとなっていますしね。

取引(実態)で考えてみる

従業員Aさんの給与について、源泉所得税を考えてみます。

本来であれば、Aさんの給与の所得税は、個人の所得税の話です。
Aさんが直接、税務署に申告して納税すれば終わる話です。

ではなぜ、会社は給与について所得税を引いているのでしょう?

サラリーマン全員が税務署に確定申告に行ったら、大変なことになります。
そこで、国は給料を払っている会社にその手間を押し付け、会社を源泉徴収義務者なるものに仕立てます。

本来Aさんが直接国に払えばいい所得税(下図の青い矢印)を、会社に預からせそれを国に納めさせる(下図の赤い矢印)。

さらに年末調整という仕組みを作り、確定申告の手間を会社(会計事務所)に押し付けたわけです。(タダで)

その結果、Aさんの25日払いの給料から所得税を預かります。
翌月10日に国に納める所得税は、決算日(月末)に預り金として、決算書に載るわけです。

今では、住民税(市区町村)、社会保険(厚生労働省)なども相乗りしてきて、かわりに預かる手間の何と多いことか・・

預り金の相手先が税務署ではないと思うのは

ちょっと前置きが長くなってしまいました。

もとをたどるとAさんが直接国や市区町村に払えばいいものを、国とかのかわりに、Aさんから預かっています。
仕訳で考えてみても、「現金/預り金」です。

その現金はAさんからの入金(給料から差し引いている)で、税務署からではありません。

なので、私の意見は「誰から預かっているか?」→ それはAさんからです。

相手先は「Aさん(従業員)」という結論です。

おまけ

今回この記事を書くにあたり、国税庁のHPを見ました。
すると、2024年3月1日から科目明細書の書式が変わるようです。
インボイス制度に対応したもののようです。

たとえば、売掛金の内訳書は、こんなふうです。

登録番号(法人番号)を書く欄が増えています。

そして注書きにはこんな記載が。

4,が増えたのですが、こう書いてあります。

4.「登録番号(法人番号)」欄に登録番号又は法人番号を記載した場合には、「名称(氏名)」欄及び「所在地(住所)」欄の記載を省略しても差し支えありません。
なお、登録番号を記載する場合には、「T」を含めて記載してください。

登録番号(法人番号)を書けば、名称・所在地は省略可になります。
そうすると、こんな科目明細書になるでしょうね。

インボイス制度に登録していない個人事業者だけがあらわに・・・
(谷口さんとこ、インボイス発行事業者じゃないのね・・)

しかも、銀行さんもこの申告書を受け取っても、取引先の様子を知るのには手間が増えます。

ということで、個人的には登録番号(法人番号)は空欄のまま、つまり今までと書く内容は変わらない科目明細書を作ることになると思います。
(それがお客様の要望になりそうですから・・)

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