毎月末や決算で、棚卸しをします。
書籍やネットなどで調べてみると、棚卸しの目的はだいたい次の2つと書かれています。
・商品や材料の在庫数や品質をチェックするため
・正確な利益の計算のため
在庫数や品質をチェック
棚卸しは「倉庫などの棚から商品などを下ろして、数量や品質をチェックする」ことです。
仕入れた商品や材料は、陳列したり加工したりして販売されていきます。
商品なら、仕入れ伝票や販売データから、売れ残った商品がいくつあるかはすぐに分かります。
ただ、それはあくまでも帳面上、パソコン上の話です。
伝票の漏れ、入力漏れなどから、実際の数量と食い違うこともあります。
そこで、実際に商品がおいてある倉庫や店舗を見て、確認します。
これが棚卸しです。
また、帳簿上ずっと売れ残っている商品があることがあります。
実際倉庫に見に行ってみると、壊れていたり、腐っていたり、日焼けしてしまっていたり。
売り物にならない状態になっていることもあります。
棚卸しには数量の確認と同時に、品質のチェックの意味もあるのです。
もし売り物にならないのなら、どうするのか。
帳簿と現場の「差」を把握することが大切です。
原因を明らかにして、対応策を考え実施します。
中小企業では棚卸しをやっていない、あるいはできていないケースは少なくありません。
「うちは無理だよ」なんて言ってる事業者の皆さん。
それは言い訳でしかありません。
事務所近くにある超人気の焼肉屋さん。
毎月1日には、毎日行列のできるランチタイムを休んでも、棚卸しをされています。
正確な利益の計算
棚卸しをするもう一つの理由に「正確な利益の計算」というのがあります。
多くは会計・税務系の本などの記述をまとめると、こうなっています。
・会社では粗利益(売上総利益)が重要である
・売上総利益は、売上ー売上原価で計算される
・売上原価は、期首棚卸高+当期仕入高ー期末棚卸高で計算される
・そのため棚卸しを行うことにより、期末棚卸高を算出する必要がある
この記述、私がこの業界に入った30年ほど前(1988年)も同じでした。
当時はまだ単色ブラウン管のオフコンの時代。
しばらくしてあのWindows95が発売され、今ではPOSレジ、クラウド、AI。
ほんとうに今でも「期首棚卸高+当期仕入高ー期末棚卸高」でないと、売上原価は計算できないんでしょうか?
決算まで待たないと、正確な売上原価(あるいは売上総利益)は出ないんでしょうか?
取り憑かれたように「期首棚卸高+当期仕入高ー期末棚卸高」。
在庫が多い少ないで利益が変わるとか、評価方法で利益が変わるとか。
決まりだからとは言え、ずーっとこの考えから抜けられない会計人のなんと多いことか。
商品販売なら、パソコン見れば原価(利益)はすぐわかります。
製造業だって、建設業だって、MQ会計の思考を持ってすれば、原価はすぐに計算できます。
仕入れも含めた販売データの管理ができていないなら、それの方が問題です。
「決算まで待たないと」とか、「棚卸しをしないと」なんて言っているのは会計人だけです。
棚卸しは「数量の確認・品質チェック(「差」の確認)、より利益を出すための大事な業務」です。
時々刻々、お客さまのニーズを見ながら会社は仕入れと販売をしています。
会計人のアタマの中こそ、棚卸しが必要かもしれません(自戒をこめて)
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