仕入れと原価は似ているけれど
「今月は仕入れ過ぎちゃったから、原価が上がるなぁ」
まだ私が会計事務所に勤めていた頃、こんな話をする会社の方がいました。
仕入れと原価を混同している方、意外にいます。
でも違います。
会計はすべてこの会計恒等式で表されますから、会計恒等式で考えてみましょう。
商品を仕入れて売っている会社の場合、商品の会計恒等式はこうなります。
これだけ見ると、商品の「何を」表しているかがはっきりしません。
たとえば、数量の視点から見ると、こうなります。
表示上、有り無しで表しましたが、数量が入ります。
前月在庫が10個、仕入れたのが100個とか。
各商品には値段(単価)がありますから、この数量に単価をかけると、金額になります。
仕入れ金額がいくら、在庫金額がいくら、というように。
商品をお金の動きで見てみると
商品の動きをお金の視点で見てみましょう。
商品を仕入れるにはお金が要ります。
1個100円のものを10個仕入れるためには、1000円必要です。
1000円のお金を払わないと、商品は買えません。
するとこんな会計恒等式が書けます。
仕入れる時は、お金が出ていきます。
売れなくて在庫になっても、お金は出ていったままです。
毎月10個しか売れないのに、毎月50個仕入れていたら、40個分のお金は出ていったままです。
すぐにお金が足らなくなります。
お金が入ってくるのは、お客様が買ってくれて、お店の外に出たときです。
売れて初めてお金になるのです。
商売ですから、100円のものを100円で売ることはしません。
120円なり、130円なり、お客様が買ってくれる値段で売るわけです。
会計恒等式を使って売れたということを無理やり表すなら、こんな形でしょうか。
原価+利益、つまり売上です。
会社の中には利益はなく、売ることで初めて、利益は外からもたらされます。
利益は会社の中にはないのです。
原価計算やら管理会計やらは、訳のわからない計算をして架空利益をひねり出します。
ただ、そうやって計算した利益は、ほんとうの利益ではありません。
これには騙されてほしくないですね。
で、仕入れと原価は
仕入れと原価は、こういう関係です。
仕入は売るために買ってきたもの、原価はそのうち売れたもの、です。
前期の在庫がなく、仕入れたものが全部売れれば、「仕入=原価」にはなりますが。
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【編集後記】
昨日ビックカメラのAppleコーナーに寄ったら、何やらすごい混雑。
PayPay(ペイペイ)効果で、殺到しているんだそうです。
確かに、値引きをしないApple製品を20%OFFで買えるのは魅力的です。
ただ、すでに一部の商品は入荷待ちの状態だそうです。
PayPayを仕掛けたのはSoftbankグループ。
昔のADSL端末の無料配布と、同じ戦略のように思えます。
キャッシュレス化の戦国絵図を見たような気がしました。