源泉徴収税額は、どう計算する?(報酬・料金)

(H28の写真の使い回し(笑)

■ ■ 発売中 ■ ■
決算書のつくり方
kindle版 

なぜ社長は決算書に興味がないのか?
Kindle版

税理士など、報酬・料金をもらっている個人の方は、原則として所得税を源泉徴収されます。
逆に言うと、支払う側は原則として、支払い時に源泉徴収をしなければなりません。

報酬料金の源泉徴収所得税は、支払金額に10.21%を乗じて計算します。
(1回の支払額が100万円を超える場合は、20.42%)

具体的な事例で見てみましょう。

割合を乗ずるのは消費税込みの金額?抜きの金額?

例えば報酬料金の請求書にこう書いてあった場合。

<請求書>
1月分報酬   50,000円
消費税(10%) 5,000円
ーーーーーーーーーーーー
合計     55,000円

・原則は、税込金額に10.21%で計算します。
つまり、55,000×10.21%=5,615.5 となります。

・例外として、本体と消費税額が明確に区分されている場合には、本体価格をもとに計算することもできます。
そうすると、50,000×10.21%=5,105 となります。

明確に区分とは、上記の請求書のように金額を分けて記載されている場合が該当します。

契約書などで、
「1月分報酬は50,000円とする。(消費税別途)」
みたいな書き方で、請求書を発行していないような場合は、明確に区分しているとはなりません。
その場合は、税込金額に対して10.21%となります。

計算して円未満の端数が出たら?

上記の例では、計算した結果、円未満の端数が出てしまいました。
この場合は、切り捨て?切り上げ?四捨五入?

正解は、円未満の端数は切り捨てです。

なので、上記の原則(税込み)場合は、5,615円を差し引きます。
支払額は49,385円となります。

例外(税抜き)の場合には、端数が出ません。
5,105円を差し引いた、49,895円を支払います。

100万円の判定は税込金額?税抜金額?

同一人に1回に支払う報酬が100万円を超える場合には、超える部分について、20.42%の税率となります。
では、その100万円はどういうふうに判定するんでしょうか?

<請求書>
1月分報酬   1,000,000円
消費税(10%) 100,000円
ーーーーーーーーーーーーーー
合計     1,100,000円

通達にはこのように書いてあります。

(同一人に対し1回に支払われる金額の意義)
205-1 法第205条第1号かっこ内及び令第322条《支払金額から控除する金額》の表に規定する「同一人に対し1回に支払われる金額」とは、同一人に対し1回に支払われるべき金額をいう。ただし、法第205条第1号かっこ内に規定する税率を乗ずべき金額の判定に当たっては、現実に1回に支払われる金額によって差し支えない。

要約すると、「税率の判定については、現実に1回に支払われる金額が100万円を超えるかで判定して、差し支えありません」となっています。

さらっと読むと、わかりやすく感じます。
が、よく読むと、とてもわかりにくいです。

こういうことのようです。

実際に支払われる金額(消費税額を含んだ金額で、源泉所得税を引く前の金額)が100万円を超えたら、(超えた部分は)20.42%です。

具体的に見てみましょう。

・10%消費税込みで110万円の場合
110万円>100万円なので、超える部分の10万円について20.42%です。
源泉徴収税額は、100万円×10.21%+10万円×20.42%=122,520円 となります。

・消費税を区分している場合には、100万円×10.21%=102,100円となります。
支払う額は110万円なので、110万円>100万円となり、超える部分の10万円について20.42%となります。
でも、計算上は本体価格の100万円に対して税額を計算することになりますから、結果として10.21%のみの適用となります。

うむぅ、むつかしい。

こちらの記事もどうぞ
支払調書がこない・・源泉徴収税額が合わない・・

ーーー