外国株の配当について外国税額控除を受ける場合(特定口座の場合:実例解説)

特定口座で、外国株からの配当について外国税額控除を受ける場合のe-taxでのやり方(入力方法)を、実例でざっくり解説します。

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証券会社で株取引をしている

証券会社1社で株取引をしている日本人の方で、ふるさと納税や医療費控除もない方を想定しています。

それ以外の方は、税務署や税理士さんにご相談くださいね。

今回の例は、証券会社1社で株取引をしているサラリーマンのTさんです。
特定口座(源泉徴収あり)を開設していて、国内株式、外国株式、投資信託などの取引があります。
特定口座以外のほかに、NISAもやっています。

年が明けると証券会社から「特定口座年間取引報告書」を入手することができます。
こんな書類です。

これにはTさんがこの証券会社で昨年1年間、特定口座内で取引した内容が書かれています。
この資料を使って計算、申告します。

実際は計算してみないと分かりませんが、この資料を見る限り、株の売買では利益は出ていますし、外国税額控除の結果戻って来る外国税は8,369円です。
「ならめんどうなのでやらない」というのなら、この先は読まなくても大丈夫です。

なお、前年以前から特定口座で同様の取引をしていて、「株の譲渡損(赤字)の繰越がある(※)」方は、必ず確定申告をして、その赤字の繰越処理をしないと、損します。

※「令和4年分の所得税および復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」という書類を、令和4年分の確定申告のときに提出した方

特定口座年間取引報告書の見かた

特定口座年間取引報告書には、特定口座で取引した内容が書いてあります。
株の売買と、投資信託での運用、配当の受取状況です。
国内のほか、外国株も入っています(その証券会社が取り扱っているもののみ)。

NISAの分は?というと、ここには入っていません。
特定口座は税金がかかる口座です。NISAは非課税口座なので別の口座になります。
また、税金がかからないので、確定申告する必要もないわけです。

特定口座年間取引報告書は、大きく3つの区分に分かれています。

株の売買関係


上の部分が株の売買の状況とその損益、税金の状況です。
株の売買で損した人(3の差引金額がマイナスの人)は税金はゼロです。
そして、その損はまず配当の利益と相殺して、さらにマイナスだと来年以後に繰越ができます(申告が必要です)。

Tさん、2,400万円も株を売り買いしてるのか(@_@

これは、1回分ではなく、1年分の累計です。
50万円で株買って、51万円で株売って、みたいなことを年間50回近くやってもこうなります。累計です。

Tさんはラッキーなことに令和5年は、115万円ほど利益が出たようです。

株の利益には所得税が15.315%、住民税が5%かかります。
上に税額が記載されていますが、それぞれ割返すと、そうなっています。

配当などの関係

下の区分には配当などの状況が載っています。
上半分が上場株式の配当など、下半分がそれ以外です。

この上半分、上場株式の欄を見ると、「9.合計」に「外国税額」が載っています。
ここに数字がある場合に、外国税額控除ができます。

なんで外国税額控除ができるの?

興味がなかったら、飛ばして次へ行っても構いません。

今回の例では日本とアメリカの株の配当のお話しです。
特定口座年間取引報告書についてくる配当の明細書に内訳が書いてあります。

Tさんは米国株、スタバとコカ・コーラの株をもっていて、その配当を受け取っています。

そうするとこの明細にあるように、日本の所得税と住民税、外国の所得税がそれぞれの配当にかかっています。

1つの配当をもらっただけなのに、日米双方から所得税を取られてはたまりません(二重課税といいます)。
ということで、日本人のTさんが日本で所得税の申告するなら、アメリカの分は返してもらえます。(だいぶ端折ってます)

一方、アメリカでは株の売却利益には、税金がかかりません。
そうすると、2以上の国で同じものに課税がされていないので、株の売却利益には二重課税が起きていません。こういう場合は、外国税額控除はありません。

e-taxの入力方法

といちおうのリクツを理解したうえで、特定口座年間取引報告書を見ながら、e-taxに入力して、確定申告を済ませましょう。

解説は株の部分だけですので、ほかの部分の入力はご自身でお願いしますね。

株の売買部分を入力します

特定口座年間取引報告書を見ながら、口座情報の入力をします。
源泉徴収の有無「有り」、勘定の種類、申告するものにチェックを入れます。

そして税金と譲渡対価の額などを入力します。

続いて上場株の配当などの欄を入力します


↓ ↓

ここでは所得税や住民税、外国税額の入力欄がありませんね?
所得税・住民税は自動で計算されています。
外国税額は別のところで入力しますので、ここまで入力したら次へ進みます。

こんな画面で注意を促してくれます。
配当も15.315%の所得税がかかるのですが、外国税額があると所得税がズレます。
いや、なかなか良くできたシステムです。

感心しながら、「上記以外の配当」も入力して次へ進みます。

そうすると次の注意。

最初に書いた※印の、前年以前の損の損失繰越の確認をしてくれます。
今回は無いので、「いいえ」をクリックして次へ行きます。

税額控除の項目で「外国税額控除」欄に入力します


税額控除の項目から、「外国税額控除」の入力をクリックします。
特定口座年間取引報告書のこの場所を見ながら入力します。

「外国税額控除額の計算がお済みでない方」にチェックをいれると、入力欄がでてきます。
米国株なので、「国名」は「米国」と入力します。
後は見本の通り入力して、金額は円のところに入力します。

次に調整国外所得の計算とあり、調整国外所得金額を入力する欄があります。
解説の例では、ここには外国の配当金額を入力すればOKです。

(※この金額が配当金額にならない方は特殊な方ですので、この記事を参考にせずに、税務署や税理士さんに聞いてください)

3の繰越控除〜は「いいえ」にチェックしてください。
(※繰越控除〜の金額がある方も特殊な方です。税務署や税理士さんに聞いてください)

これで入力を完了すると、外国税額控除の金額が反映されます。

特定口座年間取引報告書の外国税額と同じ金額になっているはずです。

***

以上、超プレーンな外国税額控除のe-taxでの入力方法を解説しました。
実例での解説が見当たらないので、ごくシンプルな例で実額解説をしてみました。

実際は特定口座を複数もっている方もいらっしゃったり、A証券では黒字だけど、B証券ではマイナスだったという方もいらっしゃるでしょう。

そういう方でも、基本的に各社の特定口座年間取引報告書の内容を入れていけば計算できますが、不安な方は、税務署や税理士さんに聞いてくださいね。

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