電話機はないけど、電話回線はあります。
電話交換手
昔、電話交換手という職業がありました。
電話交換手の方は何をしているかというと、それぞれ別々の線で繋がっている電話を、繋げる役割を持っていました。
今は「交換手」としての仕事としては、なくなりました。
自動交換機により、人が介在することなく、直接相手に電話をかけることができるからです。
ただ、今でも電話交換の方はいます。
線を繋ぎかえなければならない、というわけではなく、「受付」という意味合いでしょう。
役所などでは、取り次ぎをしてくれる方が電話に出ます。
私が仕事で関係する「税務署」という役所も、中の人と電話で話したいときは、交換の方に取り次いでもらわなければなりません。
まだ繋がっていないのか、わざと繋いでいないのかはわかりませんが、直通ができないためです。
税理士も、ある種の電話交換手?
電子化はどんどん進んでいますが、手書き、紙、アナログの仕事はまだまだあります。
経理書類を預かって、入力する。
源泉徴収票や保険料控除証明書をもらって、入力する。
電子データ化されていないものを、電子化して、送信する。
ある意味電話交換手の方と同じようなポジションに、まだ多くの会計事務所はいます。
PDFやエクセルデータでもらっていても、それを申告データに変える業務は必要です。
その業務が複雑(めんどう)だから、専門家に頼んでいます。
「税務申告がなかったら、税理士の顧問はいらないね」
という社長さんに、私は現実にお会いしたことがあります。
(今もお付き合いがあります)
マイナポータルは賛成だが、やり方はちょっと
国はデジタル化を進めていて、そのハブとなるのがマイナンバー、マイナポータルです。
さまざまなデータを、個人(マイナンバー)に紐づけて、マイナポータルを電話交換所のように使うことで、交換手である(税理士)は要らなくなっていきます。
今日明日でなるわけではありませんが、すでにその動きは出ています。
しかも国が直接介在するのではなく、事業者VS事業者、個人VS事業者と税理士などにその役割を担わせるフシがあります。
インボイス制度の普及には、事業者同士の取引関係(力関係)を利用しています。
最近では「確定申告は簡単になります」とアピールしながら、事実上、年末調整の電子化を推進しようとしています。
これを実現するには、マイナポータルに源泉徴収票(の情報)が必要です。
会社には提出義務のない少額の源泉徴収票の提出を、(今のところ)法律を変えることなく、提出をさせる方向に持っていっています。
そのためには、会社や会計事務所が給与・年末調整事務を電子化しなければなりません。
確定申告をする人と会社等との関係を利用して、進めようということではないでしょうか。
電子化それ自体を否定はしませんが、こういう狡猾な方法はちょっといかがなものかとは思います。
Q&A行政、PDF行政もちょっと目に余る感じがしますし。
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