ちくわ。
この何の変哲もない食べ物と、生き物としての人間、実に不思議な共通点があります。
ここに思いを馳せていると、ゼイキンなんて些末なものは、どうでもよくなったりします(笑)
人間はちくわのようなもの
人間を始めとする多くの生き物の構造を極めて模式的に表すと、ちくわになります。
ちくわの穴は、生き物として極めて重要な消化器官、口から肛門を表しています。
ちくわを見るとわかるように、ちくわの穴(の中)も実は外側です。
中はどこかと言うと、あの厚みのある可食部分。
美味しくいただく、ちくわそのものです。
可食部分を粘土細工のように見立てて伸ばせば、手や足ができます。
外側を少し凹ましたりすると、目が入る穴ができたり、耳ができたり。
外から見えないから体内だと思っていたお母さんの子宮も、実は外側を凹ましたものです。
構造としては外側なのです。
昔、たまたま読んだ免疫についての本を読んで、「人間はちくわのようなもの」と知ったときは、衝撃でした。
と同時に、極めて模式的に考えると、複雑そうに見えるものが実は単純だったり、難しそうな現象が意外に易しかったり、分子生物学などに興味を持つきっかけとなりました。
免疫というもの
免疫という仕組みは、自己(ちくわそのもの)とそれ以外を分けるシステムです。
この中に入り込もうとするものを、排除し自己を守ります。
このシステムは実に強固で、もともとの自己とそれ以外を明確に区別し、自己以外は完全に排除します。
例えば移植。
自己の中にあった臓器と同じ臓器であっても、他人の臓器を移植すれば、たちまち拒絶反応が起きます。
多くの臓器は機能しません。
昨今話題のウイルス。
これも自己から見れば異物です。
なのでこれが体内に入ろうとすると、それを排除しようとします。
この異物(抗原)が入ってくると、免疫のシステムが動き出します。
そしてその抗原の情報を分析し、自己を防御するために抗体が作られます。
未知のものの場合には、抗体ができるまで時間がかかりますが、既知のものに対してはすぐに抗体ができ、排除します。
新型コロナウイルスについても同様で、感染しても、生き物として体は自己防御しています。
そして、感染しても8割の人は、無症状であったり重症化しないと言われています。
なので今、抗体検査は感染状況を見る上で、有効な対策方法の1つといえます。
新型コロナウイルスは、未知のものでした。
なのでワクチンや治療薬の開発には時間がかかります。
外出自粛は、有効な手段なんですね。
生きていくための免疫システム
免疫というと、危機に素早く対応して自己を守る。
自己とそれ以外をきっぱり分けるようなイメージがあります。
たしかにそうであるわけですが、一方では「寛容」という側面も持っています。
例えば出産。
基本的には自己の「外」での営みですが、一時的に免疫の働きである「排除」「拒絶」というものを抑えて、自分の遺伝子を残すという目的を果たします。
現実にはケミカルな反応でしかないわけですが、まるで意志を持ったかのような働きは、とても興味深いものなのであります。
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【編集後記】
練りもの系は、ビールのつまみにいいです。
でも、ちくわをつまみにすると、頭の中があらぬ方向に行ってしまいます。