年末調整が終わると、源泉徴収票が発行されます。
「今年は多く戻った」「少なかった」
もちろんたくさん戻れば嬉しいですが、そこに惑わされてはダメです。
もらった源泉徴収票、最低3つの数字をちゃんと見ましょう。
見るべき3つの数字は、「支払金額」「源泉徴収税額」「社会保険料等の金額」です。
支払金額
「支払金額」は、その会社からもらった年間の給与の額面です。
「月給20万円」というときの20万円に相当する金額の1年分です。
賞与は含みますが、通勤手当は含まれていません。
この金額がいわゆる「年収」を意味します。
口座に振り込まれる「手取り」ではありませんので間違えないように。
なお、年の途中で転職し、転職先で年末調整をした方は、前職分も含めた金額になっています。
前職分は通常、摘要欄に印字されています。
源泉徴収税額
「源泉徴収税額」は、あなたの年間の所得税です。
これだけ所得税を払っています。
年末調整をした方は、これがその年のあなたの所得税額です。
給与が2000万円を超える人や退職した人など、年末調整をしていない人については、ここに記載されている源泉徴収税額は、給与から引かれた所得税の合計額です。
摘要欄に「年調未済」と印字があります。
確定申告をして、精算しましょう。
社会保険料等の金額
「社会保険料等の金額」は、年間に引かれた社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)の合計です。
具体的に見てみましょう
上記の金額を一覧表にまとめると、こんな感じです。
※比率は収入に対して計算してみています
源泉徴収票には住民税は表示されませんが、源泉徴収票に書いてある数字を使って、次のように計算するとおおよその額が出ます。
(給与所得控除後の金額ー所得控除額の合計額+5万円)× 10%
この例の場合は、97,287円と計算できます。
これが来年払う住民税のおおよその年額になります。
「税金が高すぎる!」と思っている方は多いかもしれませんが、実は社会保険料が高いんです。
そして次に高いのは住民税。
所得税はそうでもないですね。
この例ではずいぶん税金が少ないですね。
実はこの例の方は、障害者の方なのです。
なので、所得税は軽減(障害者控除)されていますし、それに連動して住民税も少ないです。
もしこの方が障害をお持ちでない方の場合は、こんな感じになります。
何に対して計算されているか?
所得控除が減った分、所得税が、そして住民税が増えています。
ですが社会保険料は変わっていません。
そうなんです。
社会保険料は個人の事情(扶養親族がいるとか、障害者であるなど)を考慮しません。
しかも、通勤手当も含めた、給与の「額面」に対して計算されます。
一方で所得税は引かれた社会保険料や、扶養親族がいるなどの事情を考慮して計算されます。
計算方法が違うんですね。
また、所得税・住民税とも扶養親族などを考慮しますが、所得税は累進税率(所得が増えると税金が増える)、住民税は一律(10%)です。
源泉徴収票をもらったら、今年は戻りが多いとか少ないではなく、
・今年の収入はいくらだった?
・所得税はいくらだった?
・社会保険料はいくらだった?
ちょっと計算して、住民税はいくらになる?
昨年と比べてみるのもいいでしょう。
そして、税制や社会保障制度がどうなっているのか、
日々のニュースなどでも関心を持ってくださいね。
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去年より戻りが少ないんですけど・・