コスト削減による利益は、誰の利益?

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利益はいくら?

写真のたわし。
売値は確か880円だったと思います。

売り場のお兄さんに、商品の特徴や上手な手入れのしかたを教えてもらいました。
なかなかのお値段、と思いましたが、買いました。

何かを作って売る場合、原材料費がかかります。
ごく簡単に「原価」と定義します。
例えばこのたわしの「原価」が380円だった場合、1つ売ると500円の利益です。

今月、たわしが10個売れたとすると、利益は5,000円です。
そして、そこから給料や家賃、諸経費3,000円を引くと、今月の利益が出ます。
2,000円となりました。

コスト削減

「コスト削減」、私のキライな言葉の1つです。
・(仕入先に圧力をかけて)原価を下げる
・従業員の給料を下げる、一律10%の経費削減
みたいなやつです。

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では、例えばこの会社が利益を出すために、コスト削減を試みたとします。

たわしの原価。
仕入れルートの開拓や技術力のアップで、今までと同じ品質のものを1個330円で作れるようになりました。
1個あたり、原価が50円安くなりました。

また、販売スタッフの営業努力や工夫で、1ヶ月の経費を2,500円にすることができました。
月間で500円、経費を減らすことができました。

同じように今月10個売れた場合、
(880円−330円)× 10 ー 2,500 = 3,000円

利益を2,000円から3,000円に増やすことができました。

コスト削減による利益は、誰の利益?

「コスト削減の結果、(販売)価格を引き下げることができました!」
なんてフレーズを見かけます。

今回のたわし。
会社の努力の結果、利益を1,000円増やすことができました。
この増えた利益は、誰が受け取るものなのでしょう?

・お客様に還元?
・会社にためておく?
・社長がもらう?

私が思うに、まず従業員に還元ではないでしょうか。

・仕入れルートの開拓や技術力のアップで、原価を1個あたり50円下げることができた
・販売スタッフの営業努力や工夫で、経費を月間500円下げることができた

ということは、従業員の貢献によるものが原因です。
それらが適切に還元されないなら、従業員は努力しなくなるでしょう。

利益を適切に従業員に還元すれば、従業員のパワーはさらに大きくなり、利益に貢献すると思います。

お客様に還元をするのも、もちろん大切です。

どこにどう還元するといいのか、そこは社長がよーく見て、じーっくり考えて見るのがいいでしょう。

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