バランスシート、その意味を知らない人は意外に多い

簿記や会計に出てくる「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」は、英語で「バランス・シート」といいます。略してB/S(ビーエス)なんていうこともあります。

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この「バランス」の意味、結構間違えている人、多いです。
それも会計の専門家・・・

バランスとは?

英語の辞書で「 balance 」を調べてみると、最初には「天秤」とか「釣り合う」といった意味が出てきます。

ところが少しいって、線を引いたところをよく見てみると、
[会計] 差引残高、差額 と書いてあります。
つまり、会計用語としては「残高」とか「差額」を意味します。

英語に限らず、言葉の意味はさまざまです。
使われるケースによって、意味が変わってくるものは多いです。

本来は「残高一覧表」と訳されるべきものですが、「貸借対照表」つまり「左右の釣合照合表」と誤訳(?)されてしまったのかもしれません。

会計人でも間違えている人は多い

例えば、会計の「基本書」と銘打ってある本で貸借対照表を見てみると、

〜左右の合計金額は常に均衡することから「バランスシート」と呼ばれ〜
〜計算があっていれば、左右の金額は自動的にバランスする〜

というように、「バランス」が「釣り合い」という意味で使われていることが多いです。

貸借対照表は左右(貸借)の金額が一致することをもって「バランスシート」と呼ばれているわけではありません。
もともとは残高一覧表と訳すべき「バランスシート」が、左右一致表という意味合いの貸借対照表と訳されているのです。
順番が逆です。

もちろん、簿記の手続きにより作成されたバランスシートは左右の金額が一致します。
ただ、左右の金額が一致するのは、複式簿記の仕組みによるものです。
貸借が一致するということで、記帳が(一応)合っているということに過ぎません。

掛売上の仕訳を「車両運搬具/売上」としても、左右の金額が同じであれば、バランスしますからね。

貸借対照表って?

会計の本を見ると、貸借対照表はこんな表だと書いてあります。

「貸借対照表は、会社の財政状態を明らかにするため、貸借対照表日における全ての資産、負債、及び資本を記載し、株主、債権者その他の利害関係者にこれを正しく表示するものでなければならない」

もっともなように感じますが、ここにもあるように貸借対照表は、決算日時点までの仕訳の記帳を集計した「残高一覧表」に過ぎません。

原則として帳簿に記載した時点の金額が集計されているだけです。
昭和30年に1000円で買った土地は決算日に時価1億円でも、その購入時の値段(1000円)のままです。

貸借対照表を眺めてみても、残高が増えたり減ったりはしません。
決算日時点の現金はいくらか、借入はいくらかを把握する程度のためのものに過ぎないのです。

ですからこれを「分析」し、ナントカ比率を出したところで、経営者にとって有用な情報はほとんど得られないのです。