日経新聞サイトより
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4215940007032019MM8000/
リース取引に関する会計基準が変わるそうです。
何が変わるの?
リースは他人様の資産を借りて、その使用料としてリース料を払います。
貸借対照表は自社についてのものですから、載っている資産も自社のものです。
そのため、現行の日本の会計制度では、リース資産は貸借対照表に載っていません。
これを国際基準に合わせて、会社の貸借対照表に載せるようにするものです。
図で示すと、こんな感じです。
例えば1000円で5年間のリース契約をすると、他人様の資産を5年間、専属で使うことができます。
コピー機なんかをイメージするとわかりやすいでしょう。
リース契約は中途解約できません。
なのでこの契約の場合、借りている会社は、リース会社に1000円払う義務が生じます。
これがリース債務として、負債の部に載ることになります。
資産側はリース資産の使用権、といったところでしょうか。
コピー機は自社の資産ではありませんからね。
ROA(総資産当期純利益率)に影響します
私は経営分析指標というのが苦手です。
特にナントカ比率など、率で表された指標というのがよく分かりません。
ROAはこの代表格です。
こんな記事も書きました。
ROA(総資産当期純利益率)って何だ?
経営にROAを指標とされている会社も多いそうですが、ROAの数字はこの変更によって悪くなります。
計算式で言う分母が増えるため、比率である指標は下がるからです。
でもやっていることは変わりません。
表記(表示)が変わっただけなのに、数値は悪くなる。
このROAが意味するものって、やっぱり私には分かりません。
資産が増える?
日経新聞の記事によれば、この変更により日本の上場企業では17兆円もの資産が増えるそうです。
でも、これって何を意味するんでしょう?
資産が増えると総じて喜ぶことが多いですが、これはあくまで「使用権」が載るだけです。
形ある財産が増えるわけではないので、なんか違和感があります。
しかも、今までは隠れていたリース債務は、見合いで17兆円増えるわけです。
潜在的なものが現れる、ということでは評価できると思います。
ROA重視で経営をされていた会社は、会社の実態をじっくり見なければならないでしょう。
決算書分析だけに頼ると、判断を誤ると思います。
決算書に載らないものは、たくさんありますから。
会社の「実態」というものは、なかなか表しにくいものなのですね。
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