奥さんに住民税の申告書が送られてきた(平成30年改正の影響?)

お客様からここ数日、こんなお問い合わせがあります。
「奥さんに住民税の申告書が送られてきたんだけど、収入ないのに申告するんですか?」

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まず、住民税の申告は原則必要です

住民税は原則として、全員に申告義務があります。
ただし、一定の事由に該当する方は、申告しなくてもいい(申告不要)となっています。

住民税の場合、次のような事由に該当する方は、申告が不要になります。

・所得税の確定申告書をする方
・収入が給与のみで、年末調整をした方(※給与支払報告書が提出されている)
・収入が公的年金等のみの方(※公的年金等支払報告書が提出されている)
・ご家族の「税法上の扶養親族」であり、かつ、その本人の合計所得金額が35万円以下の方
・その他、収入が一定額以下の方(いわゆる専業主婦の方は、ここに該当します) 

※上記の報告書類は、給与や年金を払う人が提出します

多くの方は上記のいずれかに該当します。
そのため、住民税の申告をする方は多くはありません。

住民税が非課税であっても、申告が必要な方

・国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・介護保険料の減額・免除の申請をする場合
・所得額の記載がある非課税証明書の発行が必要な場合
(例:都営住宅、児童手当、その他各種助成金等の手続き、勤務先などへの扶養親族の届出、入国管理局の審査など)

これらに該当する方は、申告が必要になります。

30年改正の影響?

税制改正により、30年分からの配偶者控除、配偶者特別控除に改正がありました。
この関係と思われますが、奥さんあてに住民税の申告書が届いているケースがあるようです。

具体的には次のような場合に届いています。
・ご主人の給与所得が1000万円を超えている
・奥さんの合計所得金額が38万円以下
奥さんが俗に言う「専業主婦」の方です。

なぜでしょうか?

配偶者控除は今まで、奥さんの所得のみで判定されていました。
ですので、専業主婦の方はご主人の扶養控除等申告書や源泉徴収票に奥さんの名前が記載されます。

30年改正で、ご主人の所得も配偶者控除や配偶者特別控除の適用に影響するようになりました。
その結果、専業主婦の方でも配偶者控除や配偶者特別控除の対象にならない方が出てきます。
すると、扶養控除等申告書や源泉徴収票に奥さんの名前が記載されません。
(下の図の赤枠の部分)

つまり、赤枠の部分に該当する奥さんのうち、障害者でない同一生計配偶者については、市区町村で奥さんが申告上、一時的に行方不明になります。
その後、ご主人が確定申告をされる方だと一部は把握できます。

もしご主人が確定申告をしないと、下図のマーカー部分の奥さんが申告上、行方不明のままになってしまうのです。
特に前年まで奥さんが控除対象になっていた場合、「控除から外れた?=働き出した?」と思われているのではないかと。

これを把握するために、奥さんあてに住民税の申告書が送られているものと推測できます。
これは扶養控除等申告書や源泉徴収票の、記載様式の不備によるものと思います。
改善していただきたいところですね。

該当する方は申告しましょう

ご主人が確定申告をされる場合はいいとして、そうでない場合(上の表のマーカー部分に該当する方)は、奥さんの住民税の申告書を提出しましょう。

具体的には「収入がない」欄にチェックや収入欄にゼロを入れ、ご主人の「扶養」に入っている旨を書きます。
なお、この「扶養」は税金上の扶養親族という意味ではありません。
ご主人の収入で生活している、という意味です。

出さないとたぶん、区役所から問い合わせがきますので。

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【編集後記】

昨日はセミナーを受講しました。
「考える」セミナーで、頭をたくさん使いましたが、楽しいものでした。