青色申告書の記載ページ
行政のしれっと変更
書式・様式の変更、というのがあります。
そのパターンは、
・法律の改正によるもの
・他の重要項目を入れるために、あまり重要でないものと入れ替え
・行政側が欲しい情報
あたりです。
この中で一番注意したいのは、税務署側が「欲しい情報」だったり、「業務の効率化をはかる」ためのものです。
税務署側と納税者側、双方にメリットのある形でのものならいいと思います。
しかし、往々にして納税者側に負担を押し付けて、税務署側の効率を上げようとするものがあります。
書式・様式ではありませんが、年末調整などはその最たるものです。
こういうのを、例えばインボイス制度の導入に絡めて、しれっと入れ込んできます。
例えばこれらの書類
今回のインボイス制度導入に伴い、所得税の青色申告書や法人税の科目明細書の書式が変わります。
取引先の名称と一緒に、インボイス番号(法人番号)を書いてくださいね、というもの。
これ、「そうだね、効率化できるね」と思います?
ほんとうに「納税者側は」効率が良くなるのでしょうか?
「どうせ登録番号調べるし」
「1回確認してソフトなどに取り込んでおけば、そんなに苦じゃないよね」
それをなんでこちら(納税者側)でやる必要があるのか?
そう思いませんか?
これって、わざわざ確認しなければなりませんよね?
しれっと押し付けてきていると感じるのは、こんなところからもです。
青色申告書の明細もそうですが、法人税の科目明細書。
売掛金の明細書
受取手形の明細書
なんかにも、取引先の名称と一緒に、インボイス番号(法人番号)を書く欄が設けられています。
インボイス制度は、仕入税額控除のため、つまり支払った先がインボイス発行事業者かどうかが大切です。
つまり、仕入先、支払先の登録番号が重要なわけです。
だから売り先からは、こちらの登録番号の確認が来たわけです。
あたり前です。売り先から見たらこちらは支払先ですから。
でも売り先の登録番号なんて、そもそも知りません。
聞いたら教えてくれるでしょうけど、「なんでうちの登録番号がいるの?」
私が売り先の担当者なら、そう聞いてしまうでしょう。
普通に考えたら、こちらでは必要がないものです。
税務署のために売り先に聞いて、記入して提出するのは、ナンセンスだと思いませんか?
こうやってしれっと変更して、特に気にせず売り先の登録番号等を記載して提出すると、それが既成事実化され、いつのまにかあたり前、強制的な事項にすり替わっていきます。
少なくとも現時点で考える限り、こちら側には何のメリットもありません。
「税務署の書式がこうなっていますから、書かなきゃダメなんですよ」
なんて、私は言いたくないですね。
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