業務上の都合により、事業年度(会計期間)を変更することがあります。
この場合の消費税の中間申告はどうなるのでしょう?
会社は事業年度の変更ができます
会社は事業年度、つまり決算期(決算日)を変えることができます。
株主総会等で決議しますが、登記は必要ありません。
ただし、税務署や都税事務所には変更の旨を異動届に書いて、提出します。
議事録のコピーを添付してください。
例えば、今まで3月決算の1年決算法人(つまり事業年度は4月1日から翌年3月31日まで)が、8月決算にするような場合はどうなるのでしょうか。
×2期 01年4月1日から02年3月31日まで(事業年度:12ヶ月)
×3期 02年4月1日から02年8月31日まで(事業年度:5ヶ月)
×4期 02年9月1日から03年8月31日まで(事業年度:12ヶ月)
こんなふうになります。
消費税について「課税期間の短縮の届出」をしていない限り、事業年度=課税期間となります。
消費税の中間申告はどう決まっているの?
消費税は前期の消費税額が一定額以上の場合には、中間申告・納税をしなければなりません。
吸収合併や新設合併といった難しいのは専門家に聞いていただくとして、ごく普通の会社の場合で書きます。
まず、設立1期目の場合は前期がありませんから、中間申告は不要です。
また、消費税について「課税期間の短縮の届出」をしている場合も、中間申告は不要です。
これ以外の場合は、金額による判定になります。
・前期の確定消費税額が4,800万円(地方消費税を含めません)を超える場合
→ 中間申告を年11回しなければなりません。つまり毎月です。
・前期の確定消費税額が400万円(地方消費税を含めません)を超える場合
→ 中間申告を年3回しなければなりません。つまり3か月ごとに1回です。
・前期の確定消費税額が48万円(地方消費税を含めません)を超える場合
→ 中間申告を年1回しなければなりません。つまり半年目に1回です。
※このいずれの金額にも該当しない、つまり前期の確定消費税額が48万円(地方消費税を含めません)以下の場合には、中間申告は必要ありません。
では、決算期を変更した場合は?
先ほどの例で見てみましょう。
×2期 01年4月1日から02年3月31日まで(事業年度:12ヶ月)
×3期 02年4月1日から02年8月31日まで(事業年度:5ヶ月)
×4期 02年9月1日から03年8月31日まで(事業年度:12ヶ月)
注意が必要なのは、×3期と×4期です。
×3期 02年4月1日から02年8月31日まで(事業年度:5ヶ月)
・×2期の確定消費税額が4,800万円(地方消費税を含めません)を超える場合
→ 年11回中間申告の対象となります。
具体的には、4/1-4/30、5/1-5/31、6/1-6/30、7/1-7/31の各月は年11回中間申告が適用されます。
ただ、決算期を変えたので、結果的に4回の中間申告となります。
(8/1-8/31は確定申告に含めます)
・×2期の確定消費税額が400万円(地方消費税を含めません)を超える場合
→ 年3回中間申告の対象となります。
具体的には、4/1-6/30は年3回中間申告が適用されます。
ただ、決算期を変えたので、結果的に1回の中間申告となります。
(7/1-8/31は確定申告に含めます)
・×2期の確定消費税額が48万円(地方消費税を含めません)を超える場合
→ 年1回中間申告の対象となります。
ですが、決算期を変えたため、×3期は5か月しかありません。
結果的に中間申告は不要となります。
(4/1-8/31は確定申告になります)
なお、決算期変更の届け出のタイミングによっては、中間申告書・納付書が送られてくる場合があります。
手続上しかたがありません。
ですが、送られてきたからといっても、上記の判定により申告・納付が必要のないものは、しなくてOKです。
×4期も要注意
×3期は決算期変更により、事業年度が5ヶ月でした。
当然消費税も少ないかと思います。
ということは、×4期は中間申告・納付の必要はない?
いいえ、×3期の確定消費税額をそのまま見てはいけません。
年換算が必要になります。
例えば×3期の確定消費税額が40万円(地方消費税を含めません)だった場合、「40万円<48万円だから、中間申告の必要はない」と思ったら間違いです。
この場合は年換算すると確定消費税額が96万円(地方消費税を含めません)となります。
すると96万円>48万円となり、年1回中間申告が必要となります。
申告書・納付書は時期になると送られてきますが、「げっ、お金がない・・」なんてことにならないように、注意してくださいね。
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【編集後記】
台風26号が発生したそうです。
もうじき11月だというのに・・・
来てほしくないですねー