最近、MQ会計についてこんな質問をいただきました。
PQは売上、VQは仕入れ、MQは利益ですよね。
ということは「PQーVQ=MQ」ということですか?
PQーVQ=MQではありません
MQ会計に行く前に、ちょっと一般的な会計本を見てみましょう。
会計の本の中には、売上ー仕入=利益などと表記しているものもあります。
これはちょっと乱暴ですね。一般的には「仕入」ではなく「売上原価(製造原価)」となります。
小売業であれ、製造業であれ、一般的には在庫がありますから、仕入=売上原価とはなりません。
期首と期末の在庫を考慮しなければなりません。
ですので、多くの会計本は、売上ー売上原価(製造原価)=売上総利益と表記しています。
でも、MQ会計とは違います。
ちょっと高級そうな会計の本になると、売上ー変動費=限界利益と表記しているものがあります。
管理会計とかの考え方が入り、より高度な内容となり、計算も複雑になります。
ですが、学問的でマニアックになり、社長にはピンときません。
もちろん、MQ会計とは違います。
MQ会計には在庫がない?
ある公認会計士の方がこう言われました。
「MQ会計は在庫を考慮していないよね」
MQ会計は「販売数量:Q」に着目します。
PQ、VQ、MQにはそれぞれ「Q」が付いています。
PもVもMも、「販売数量:Q」と相関関係があるからです。
MQ会計表は、マトリックス会計表の一部分を抜き出したものです。
Qを含めた5要素から、戦略的な経営を行うためのものなのです。
また、MQ会計(表)は変動損益計算(書)を図式化したものだと勘違いする方が多いです。
特に会計の専門家と呼ばれる方は、これをごっちゃにする方が少なからずいます。
しかし、MQ会計(表)と変動損益計算(書)はまったく違うものです。
MQ会計の基本図は、こちらです。
MQ会計のMQとは
会社は一般的に複数の商品を販売しています。
ですから各商品にP、V、そしてその差額のMがあります。
そして各商品のP、V、Mに販売数量QをかけたものがPQ、VQ、MQです。
だから、PQ、VQ、MQは各商品のPQ、VQ、MQの総和(合計)を表しています。
表面的にはPQーVQ=MQに見えますが、各PQ、VQ、MQ、それぞれが積み上がったものなのです。
ですから、MQ会計図のPQ、VQ、MQは、売上ー仕入(原価)=利益のように、差額で求めるとその先に進めません。
結果は同じになるかもしれませんが、考え方のプロセスが違うのです。
PQーVQ=MQと間違えて理解してしまうと、Qが見えにくくなります。
結果として「売上を上げろ、原価を下げろ、経費を減らせ」となってしまうのです。
最近、MQ会計、MG(MQ戦略ゲーム)が広まってきています。
しかし「MQ」の本当の意味を理解せず、間違った解説をする方、社長方をミスリードする方もいます。
ぜひ正しいMQ会計を理解して、実践に役立ててください。
MQ会計を正しく理解するには、この本がおすすめです。
『利益が見える戦略MQ会計』