こちらに有利なものは捨てないで!(会社の議事録など)

だんだん年末に近づくと、片付け、しなきゃです。

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片付けと言えば、会社の帳簿書類。
基本的には毎年たまっていきます。 

保存期間は法人税法では原則7年間、会社法では10年間とされていますので、10年を超えている書類があれば、捨ててしまいましょう。
(ホントはもっと早く捨てたいですが・・)

ただし、捨てるといっても、全部捨てないようにして下さいね。
捨ててしまうと、こちらが不利になってしまうものもあるからです。

先日、同業さんと話していて、こんな事例を聞きました。

ある会社で、40年近く第一線で仕事をされてきた会長が退職するにあたり、退職金の計算をしようとしました。

一般的に役員退職金は、「基準報酬額×在任年数」といった式で計算します。
ところが、在任期間が「はっきり」分からないのです。

会社の資料を調べても、古い資料はありません。
昭和50年(1975年)ごろとの話なのですが、はっきりしません。
会長の話を信用して、41年(2016-1975)としていいでしょうか。

退職金を受け取った場合、退職金から退職所得控除額を差し引いて税金を計算します。
退職所得控除額は20年までは年40万円、20年を超えると年70万円ずつ増えていきます。5年違えば350万円も違います。この控除額の計算も、41年を使っていいでしょうか。

こちらは多くしたいですが、税務署は認めたくないでしょう。
会長が「俺は40年、社長をやっている」といっても、その根拠が示せないと弱いです。

「役員になると登記をするから、謄本を調べれば・・」
その手がありました。

が、法務局では昭和55(1980)年以前の書類は保管していないとのことです。

税務面からはどうでしょう。

税務署に役員就任の届出(異動届)を出していたり、申告書に代表取締役として署名していたり、でしょうか。
ちなみに税務署もはっきりは言いませんが、平成17年より前の書類は、届出書なども含めて保管していないようです。

それ以外の書類となると、当時の株主総会議事録や給与明細ぐらいでしょうか。
会社や個人の通帳などで、振込みなどを確認するという手もありそうですが、その振込みは「役員報酬なのか?」という部分では弱いと思います。

とにかくかさばる帳簿書類、捨てたい気持ちは私も同じですが、こんな事例では、その書類の有無が税金計算を左右してしまいます。
もちろん、原本で持っていることが望ましいです。

争いになった場合も、コピーでもスキャンしたものでも、持っているこちらが有利です。
だって相手はその書類を持ってないんですから。

こちらに有利に働く書類は、コピーでもスキャンでも構いません。
ちゃんと取っておきましょう。